学部の概要

学部長メッセージ

共同獣医学部長 三角 一浩

共同獣医学部へようこそ

我が国の獣医学教育は、社会ニーズの変化、国際的な通用性の確保、活動分野の偏在等を踏まえ、「現場の最前線で活躍できる高度な実践力を備えた獣医師の養成」を喫緊の課題・責務として、共同教育による教員確保、モデルコアカリキュラムの策定、分野別第三者評価の導入、共用試験の導入、そして附属動物病院の整備や外部専門機関との連携による臨床実習の充実からなる教育改革に、全国の獣医学教育機関が取組んでいます。

鹿児島大学はこのような流れに逸早く対応し、2012年(平成24年)に山口大学と共に、我が国初の共同獣医学部をスタートさせ、今春、第12期生を迎えました。共同獣医学部には両大学合わせて85名の専任教員がおり、双方向遠隔授業システムを多用して2大学で同時開講される専門性の高い講義と、少人数制のきめ細やかかつ実践的な参加型実習を特徴としています。鹿児島大学共同獣医学部は多くの伴侶動物(犬・猫)が飼育される鹿児島市の中心部に立地しますが、郊外には産業動物(牛・馬・豚・鶏)を飼養する畜産地帯が拡がり、ユネスコの世界自然遺産に登録されている屋久島や奄美・沖縄を含む東シナ海島嶼には多種多様な野生動物が生息しています。獣医師を育てるために必須の教材となる多種多様な動物種が豊宮かつ身近に存在する鹿児島の地に、我が国の獣医学教育の理想につながる拠点を創り上げようとしています。

共同獣医学部で行われる教育は、2019年(平成31年) 4月、国内の第三者評価機関である大学基準協会による獣医学教育認証を取得し、「我が国初の共同学部における教育の質保証」を社会に初めて公表しました。また同年(令和元年) 6月には、欧州獣医学教育機関協会(European Association of Establishments for Veterinary Education: EAEVE)による公式最終審査を受審し、アジア初の完全認証を受けました。我が国で働く獣医師は、獣医師国家試験によって質保証されていますが、世界中を人や物が活発に行き交う現代社会において、人と動物の健康に資する獣医師の質を保証する世界共通の資格試験はありません。国家試験制度を設けることなく獣医学教育課程の修了をもって獣医師資格を付与する国々もある中で、獣医学教育課程の国際認証評価制度は、獣医師の国際的な資格認定相当の機能を有しています。獣医学先進国である欧米の教育認証を得たことは、共同獣医学部の修了者が、欧米水準の教育課程に求める最低限の獣医学的知識、技術、そして態度である「dayone skills(獣医師として働く初日のスキル) 」を身につけ、将来、国際社会で活躍できる能力を備えていることを国内外に示しています。

鹿児島大学の共同獣医学部では、先進的な獣医学教育機関が求める「全ての動物種と全ての獣医業務に関する教育」が、全ての学生に対して斉ーに行われます。欧州水準に整備された教育研究組織と施設設備を最大限に活用し、獣医師養成に欠かせない南九州の豊かな動物資源を守り、未来の人と動物の健康と福祉を考究する人材の輩出に向けて、弛まぬ教育改善に取組んでいくことを、ここにお約束いたします。

共同獣医学部長 三角 一浩