遺伝子検査

遺伝子病を含むすべての疾患は、DNA上の先天的異常(変異)や相違(多型)に加えて、後天的に得られる多様な環境要因によって発病し、その重症度も変化します。この考え方は、少し難解ですが、以下に説明します。 もちろん、遺伝子病の中には、遺伝子の異常(変異)によってのみ発病する疾患もたくさんあります。例えば、柴犬のGM1ガングリオシドーシスという致死性疾患のように(下の図1参照)、原因変異(GLB1:c.1647delC)をホモ接合で有していることによって、その疾患であることが遺伝子検査により確定診断でき、その動物の転帰が明確に説明できる場合もあります。 しかし、遺伝子検査の結果を解釈するのが非常に難しい場合もあります。ある遺伝子検査により、疾患関連変異をホモ接合で有していることがわかっても、その動物がそれによって発症しているのかそうでないのか判定できない場合も多々あります。したがって、遺伝子検査を実施してその結果が判明すれば、すべての遺伝子病が診断あるいは除外できるわけではなく、その結果の解釈には動物遺伝子病に関する専門的な知識が必要であり、その専門的解釈や判断により診断やその後の繁殖集団における効率的な予防ができるのです。

近年、遺伝子検査技術が発達・進歩したため、わずかな血液や唾液などを用いて、その動物の病気に関連する遺伝子型(原因変異など)を迅速に判定することができるようになりました。鹿児島大学動物病院では、多様な遺伝子病に関する検査を実施するとともに、その結果を専門的に解釈して適確なコンサルテーションを提供します。

遺伝子検査図1

図1

 

 

鹿児島大学
鹿児島大学 共同獣医学部
山口大学 共同獣医学部
山口大学 共同獣医学部