獣医学教育

伴侶動物内科学実習

内科学実習は、単純に外科手術以外の治療(薬による治療)に関して学ぶわけではありません。この実習では、実際に大学病院に来院した動物に起こっている問題点を理解し、そこから考えられる鑑別疾患に対してどのようにアプローチし、どのように治療計画を立てていくかという診療の基本的な進め方に関して学びます。具体的には、問診の聴取、身体検査、顕微鏡による血液・細胞の観察、さらに画像検査の読影など動物に痛みを伴わない検査を中心に実践します。ただし、動物病院に来院した患者を取り扱うため、これらの臨床実習には一定の教育を受けた後、試験に合格した学生のみが参加可能となっています。最終的に一定水準の診療技術(day one skills)を習得することを目標としていますが、それだけではなく、診療を通じて十分なコミュニケーション能力を身につけ、より多くの動物を治すためには何が必要か?などの臨床現場における問題点を考える場でもあります。


伴侶動物外科学実習

共同獣医学部の大学5・6年生は本学附属動物病院にて、約1ヶ月、獣医外科学の臨床実習に参加します。飼い主様から問診をとり、症状や経過などをお聞きします。担当の獣医師とともに、一般身体検査を実施して、必要であれば血液検査やX線検査など各種検査を実施します。手術の際には、執刀医や麻酔医の補助として、手術に参加します。手術前の術部の消毒や術後の世話・治療なども実施します。病院実習は、見学ではなく実際に自分の手を使ってやってみることが大切です。学生はこれまで学んできた知識を実践に生かすため、朝から晩まで診療に参加します。もちろん、事故などが起きないように指導医が責任を持って指導いたします。このようなことから、一般的な動物病院よりも検査や治療に時間がかかるため、お時間に余裕を持って来院していただけると助かります。本院は2次診療施設と同時に教育機関です。飼い主様および紹介元の獣医師のご協力があってこそ、未来の獣医師が、獣医師として必要なスキルを持って卒業していくことが可能になります。ご協力をお願いいたします。


夜間・救急病院総合臨床実習

動物病院では、平日の夜7時から翌朝6時まで夜間診療を行っています。夜間に、急に具合が悪くなった犬や猫を受け入れて診察と応急処置を行っています。夜間診療に来院される症例は様々で、てんかん発作や嘔吐、異物摂取、尿閉、外傷など多岐にわたります。 共同獣医学部の5年生後期と6年生前期に開講される夜間・救急病院総合臨床実習では、1名ないし2名の学生が夜間診療に1週間ずつ参加します。学生は救急症例に対して問診や検査、応急処置を担当教員指導の下で実施して、将来、獣医師になった時に必要となる救急症例への対応や応急処置のスキルを学びます。


馬診療学実習

馬診療科に所属している教員は、実際の馬の診療を通して、共同獣医学部の5・6年生に馬獣医療(馬への接近方法、手入の仕方、保定法、各種注射法、レントゲン撮影法、その他各種診断および治療法等)を教育しています。馬は、その大きさ故に馬を知らない人から怖がられたりすることがありますが、我々が日常診療する多くの馬は、野生馬ではなく、すでに調教されており、人に対して従順です。ルールさえ守れば、大部分の馬は危ない動物ではありません。一方、どんなにおとなしい馬でも、診療の際には油断してはいけないのは事実です。学生に対しては、馬獣医療はもちろん、馬とのルールの熟知、自分の安全のみならず馬やその周囲の安全にも注意を払うことを教育しています。馬は、その他動物と比較すると決して多くなく、そのため馬獣医療に携わっている獣医師はあまり多くいません。しかしながら、馬は日本のあらゆる場所で飼養されています。日本の馬が適切な獣医療を受けることができるように、我々は本実習に取り組んでいます。


牛診療学実習

牛診療科に所属している教員は、牛の診療を通して、共同獣医学部の5・6年生に牛獣医療(各種診断および治療法等に加えて牛の飼養管理)を教育しています。鹿児島県には多くの牛飼養農家が存在し、多数を牛が飼養されています。その農家の財産である牛に対して、我々は治療および予防を実施しています。 牛は草食動物であり、一般的におとなしい動物ですが、大型動物であるために牛の生理生態を知らないと怪我に繋がります。また、産業動物であるために生産性を向上させるための獣医療が必要になります。学生に対しては、牛獣医療はもちろん、牛の扱い方、飼養管理方法ならびに農家さんとのコミュニケーション方法などを、実際の診療を通して教育しています。 また、大隅産業動物診療研修センターにおいて牛診療を学ぶ臨床実習、鹿児島県内のNOSAI(農業共済組合)の先生方のご協力をいただき、現場の診療所で牛診療を学ぶ臨床実習にも取り組んでいます。

鹿児島大学
鹿児島大学 共同獣医学部
山口大学 共同獣医学部
山口大学 共同獣医学部