臨床検査(画像診断)

鹿児島大学の画像診断部門では“できるだけ動物に優しく”且つ、“的確に診断すること”をモットーとしています。

最近は動物の病気の診断法も目覚ましく進歩してきました。レントゲン検査や超音波検査(エコー検査)は多くの動物病院でも日常的に使われています。動物は自分で痛いところを説明したり、薬が効いてきているか教えてくれたりしません。獣医師はそのような動物たちの表情をみながら症状に合う異常所見を見つける必要があります。

このような理由から、様々な画像検査がヒトの医療より重要視されています。大学ではレントゲン装置(DR:デジタルX線)、内視鏡、超音波、X線CT、MRI装置を完備しています。レントゲン、内視鏡と超音波装置は大動物の診断用に学外でも使用できる持ち運べるものも完備しています。CT検査装置は16列ヘリカルで年間300例以上の症例の撮影が行われています。特に鹿児島大学では動物に優しい撮影を常に心がけており、麻酔をしないでCTを撮影する「無麻酔CT検査」を早くから取り入れています。現在では80%以上の撮影は無麻酔CT検査になっています。

また、MRI装置は世界的にも最高機種の3テスラー装置を使用して、より的確に診断できるようになってきました。脳梗塞など従来の装置では判断が難しかった病変も検出しています。

また、鹿児島大学の最大の特徴として、これらの装置を牛や馬等の動物の診断にも使用しています。CT装置は1トンの体重まで支えられるように改良されています。検査は地域産業にも貢献しています。

これらの装置をうまく利用しながら、今後も動物の病気をしっかりと診断できるように工夫していきます。

CT

CT

MRI

MRI

操作室

操作室

 

 

 

臨床検査(臨床病理)

動物は言葉を話すことができません。そのため、動物の病気では様々な検査を行ない、その結果を総合的に考えて診断することが必要になります。特に検査室で行なわれる臨床検査では多くの情報が得られます。

一般的な血液検査には、全血球計算と血液化学の2種類があります。全血球計算は、赤血球や白血球などの数を調べることで貧血や感染症の診断に役立ちます。血液化学は、血液に含まれる成分の濃度を調べることで臓器の異常や様々な病気の診断に役立ちます。尿検査や糞便検査も病気の診断に重要です。たとえ元気で血液検査に異常がなくても、尿検査から腎臓病が発見されることがあります。脳神経病の診断には脳脊髄液の検査が役立ちます。関節炎の診断には関節液の検査が重要です。最近では、細胞診が重要な臨床検査として注目されています。

細胞診とは、簡単にいうと細胞の顕微鏡検査のことです。細い注射針の穿刺、腹水や胸水の遠心分離など様々な方法で採取した細胞を顕微鏡で観察することで癌や感染症の診断が行なわれます。特殊な染色を行なうことで一般的な検査ではわからない病気の診断ができることもあります。

 

全身のリンパ節が腫大した猫で実施したリンパ節の細胞診。リンパ腫が疑われた。

全身のリンパ節が腫大した猫で実施したリンパ節の細胞診。リンパ腫が疑われた。

右と同一症例で実施した特殊染色。B細胞型のリンパ腫と診断された(遺伝子検査も同じ結果)。 青色:核、緑色:B細胞(CD79α)、 赤色:T細胞(CD3)。

右と同一症例で実施した特殊染色。B細胞型のリンパ腫と診断された(遺伝子検査も同じ結果)。
青色:核、緑色:B細胞(CD79α)、
赤色:T細胞(CD3)。

 

 

 

 

 

鹿児島大学
鹿児島大学 共同獣医学部
山口大学 共同獣医学部
山口大学 共同獣医学部